「水処理施設の仕事って?前編」

先日アップしたブログで水処理のことを書いたのですが内容を詳
しく教えてほしいとの声がありました。何も知らない人からする
と言葉一つとっても内容がわからないのかなと思います。そこで、
なるべく解り易く水処理施設で行っている仕事を説明したいと思
います。長くなりそうですので、前後編に分けて説明しますね。


この画像は東環HPに掲載されている、水の処理の流れになりま
す。この流れに沿って説明していきたいと思います。

東環にある処分場は最終処分場(埋め立て処分場)のうちの管理
型処分場というものになります。この管理型処分場は降雨などに
より埋立地から水(浸出水と呼びます)が出てきます。この浸出水
は埋め立てたごみの影響で汚れているため、このまま川などに流
すことが出来ません。そのために普段私が働いている水処理施設
で水をきれいにする必要があります。

処分場より浸出してきた水は砂などの大きいゴミが入っています。
このごみを取るところが『沈砂池』となります。(普段はバースク
リーンと呼んでいます。)仕組みは簡単で、水路の中に堰(せき)
を作り、くみ上げた浸出水の上澄みだけを次に流しています。
砂などのゴミは堰の前に沈んで先に流れません。

この上澄みを溜めておく所が『原水調整槽』(普段は調整槽と呼ん
でいます)です。一度大きい水槽に貯めることで水質、水量を管理
しやすくしております。例えば大雨が降って水が増えても一度調
整槽に貯めることで、施設の中にはいつも一定に水が入ってくる
よう調整できます。そのため、いつもと変わらない処理をするこ
とが出来ます。

さて、この汚れている水を綺麗にするのが『接触曝気槽』となりま
す。接触曝気槽の中には好気性微生物がたくさんおります。好気
性微生物とは酸素を取込んで生活する微生物のことです。この槽
にブロワ(送風機)で空気を送り込むことで水の中の微生物が汚
れを分解してくれます。


しかし、微生物で処理をしていると、施設の中に汚泥と呼ばれて
いる泥(微生物の死骸や浮遊物等)が溜まってきてしまいます。こ
のままでは槽内が泥だらけとなってしまい、水が入らなくなって
しまいます。この溜まってしまった汚泥を集めるところが、
『沈殿槽』となります。沈殿槽では曝気(空気を送り込むことで
す)や撹拌をせず、底に汚泥が溜まる構造をしております。この汚
泥をポンプで引き抜くことで汚泥を減らしております。


沈殿槽で汚泥を減らした水は、次に『硝化槽』という所へ行きま
す。浸出水の中には、曝気するだけでは落ちない窒素の成分が残
っています。窒素は畑の肥料にも含まれているものなので、これ
を減らさないと周辺環境への汚染となってしまいます。この窒素
を不活性な窒素ガスにして大気中に放出するのがこの『硝化槽』
と次の槽である『脱窒槽』です。硝化槽では水の中に含まれている
窒素化合物を窒素ガスに変換しやすい硝酸イオンに変えている槽
です。次の『脱窒槽』では、先ほど変換された硝酸イオンを窒素ガ
スに変えて空気中に放出する槽になります。この脱窒槽で働く微
生物は、これまでの微生物と違い酸素が無い状態で働く嫌気性微
生物です。そのためここでは曝気をせずに(酸素が無い状態で)微
生物で分解をしています。しかし、この微生物は窒素を分解する
ために栄養が必要です。そこでこの微生物が働く栄養となるよう
に、この槽ではメタノールを入れております。


今日はここまでにしたいと思います。普段目につかないところで
働いている私たち水処理の人たちの仕事前編でした。

                    テクニカルセンター 板谷

| 今日の東環 | 03:51 PM | comments (x) | trackback (x) |

 

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